第134回『まちむら興し塾』 2016年8月17日 |
テーマ 良好な人間関係を創るマメジメント手法
「リードマネジメントの効用」+クイズ
コメンテーター JTB関東 地域交流事業チーム 樋口誠司さん
|
『まちむら興し塾』当日風景・参加者写真 |
今回は、コメンテーター予定の宮林さんが都合で来られず、急遽、
樋口さんがコメンテーターとなり、聞けば当たり前なのに、少々、
難解の「リードマネジメントの効用」の解説に加えて、何と、気分
転換というか、頭の体操のクイズの出題に、頭を抱え、挑戦。
しかしながら、何とか、解いた佐藤さんを除いて、正解者は・・・。
頭の固さを嘆きつつ、いつもとは違う雰囲気で盛りあがった会でした。。
|
《リードマネジメントとは》 |
会社での上司と部下、親と子どもの関係など、「人の行動は、その
人の基本的価値観を充たすために、内側からの動機づけて引き起こさ
れる」という考え方に基ずき、アメリカの精神科医ウィリアム・グラ
ッサー(1925~2013)が提唱した実践的な選択理論心理学
(以下「選択理論」)に基づいた、リードマネジメント手法が注目さ
れ始めています。 |
リアリティセラピー(以下「RT」)は、現在に焦点を合わせ、
将来をより良くするために役立てる手法で、それぞれの人が幸せな
人生を送るために、過去は過去とし、今を生き、今の状況と向かい
あい、実践において、相手(上司・部下・取引先・関係者)と温か
い信頼関係を築き、相手が望んでいるものと、現在選択している自
分の行動を評価し、この自己評価に基づいて、双方が納得できる願
望(上質世界にあるもの)を相互で共有することを目指す手法です。
|
又、選択理論をカウンセリングで実践する手法「RT」は、カウ
ンセリングはもとより、コーチング、人や組織のマネジメントなど
にも使え、家庭や、学校、企業をはじめ、社会・組織・企業にいる
多くの人たちが、お互いに「幸せをふやし、不幸を減らす」相互支
援に結びつき、基本的なことを理解して、実践すれば、大きな効果
をあげています。
|
|
【マネジメントとは】 |
「人をマネジメントする」とは、「自分が意図することを、人を介
して行うこと」。
つまり、「相手に、自分が意図することをしてもらうこと」であ
り、実際には相手に動いてもらうことです。
|
「選択理論に基づいて相手をマネジメントの方法」 |
① 「自分の欲求を充足するのに、相手の欲求を阻害することは
しない」
② 「相手の欲求充足を支援しながら、自分の欲求を充足する」
③ 「絶えざる上質を追及する」
|
上司が部下に対して期待している成果を、部下が、自分の欲求と願
望を充たしながら、上げていくことを、上司が十分に理解して支援す
るというマネジメントであり、相手を内的に動機づける「人のマネジ
メント」の手法です。
そして、身の回りにいる人に対してだけでなく、自分の生活や人生
のセルフマネジメントの方法としても使えます。
※ 日本における選択理論心理学とリアリティセラピーの正式な推
進母体は、
「日本選択理論心理学会・NPO日本リアリティセラピー協会」
|
ページ先頭へ |
Step1 【内側から動機づける5つの欲求】
|
① 生存の欲求
・食欲・睡眠欲・性欲など身体的欲求
② 愛・所属の欲求
「愛し愛されたい、誰かと一緒にいたい、グループで行動し
たい」といった欲求
③ 力の欲求
「欲しいものを手に入れたい、人に勝ちたい、注目を浴びた
い、貢献したい」といった欲求
④ 自由の欲求
「人に束縛されたくない、自分の思い通りにしたい」といっ
た欲求
⑤ 楽しみの欲求
・好奇心 ・遊び ・新たな知識・経験 など欲求
|
「成果を出したい」「周囲に認められたい」という気持ちから、夜
遅くまで働く人材は
“力の欲求”が強くて“生存の欲求”が低い、
「周りからとやかく言われず、自分の裁量で仕事を進めたい」と思
っている人材は
“自由の欲求”が強いといえるのです。
|
【具体例】 |
「なるべく早く企画書を仕上げるように」と上司が部下に指示した
とします。
しかし、部下は飲み会の約束があることを理由に、特に上司に相
談しないで、途中で切り上げて帰ってしまいました。
この時、部下の上質世界では、「企画書を仕上げる」ということ
よりも、“楽しみの欲求”を満たす「飲み会」のイメージが優先し、
それを得るための行動を選んでしまったのです。
|
Step 2 【上質世界の追究】
|
この「基本的欲求」を満たすためには、物、人、信条が関係し、
また、その欲求を満たすために働く脳の中の特定の場所を「上質
世界」と呼びます。
人それぞれ、求める上質世界の中身は異なっており、人間関係の
中で、自分の上質世界にあるものを相手に押しつけようとするとこ
ろから、トラブルが起こっています。
|
私たちの脳の働きは、自分の上質世界にあるものを満たすために、
特定の行動をとるような仕組みになっています。
例えば、コーヒーの味を自分の好みの味にするために砂糖やミルク
を入れる行動。
|
部下は自身の『基本的欲求』のバランスに従いながら、それが満
たされる状態(=『上質世界』)を求めて行動しています。
その願望と仕事を結びつけ、『上質世界』に『目標を達成する状
態』をサポートできれば、部下は自ずと目標達成を目指すようにな
ります。
|
さらに、「上司は自分の願望実現をサポートしてくれる存在」だ
と部下が気き、「この人の力になりたい」と、部下はもっと内発的
に動機づけを強くします。
|
Step3 【上質の追究行動と創造する行動】
|
「行為」・「思考」・「感情」・「生理反応」4要素を「全行動」と
呼び、その
全行動が納められる場所を行動のシステムと呼び、行動
のシステムからすべての人が持っている創造性が産み出されます。
|
《選択理論》展開図 |
内側から動機づける【基本的欲求】5 |
① 生存の欲求 |
・食欲・睡眠欲・性欲など身体的欲求 |
② 愛・所属 |
・愛し愛されたい ・誰かと一緒にいたい
・仲間と行動したい
|
③ 力 |
・欲しいものを手に入れたい ・人に勝ちたい
・注目を浴びたい ・貢献したい」
|
④ 自由 |
・人に束縛されたくない
・自分の思い通りにしたい」
|
⑤ 楽しみ |
・好奇心・遊び・新たな知識・経験などの欲求 |
|
その欲求は並列で、強弱は人それぞれに異なる |
|
|
|
【上質世界】
(「基本的欲求」を満た
すために働く脳の中の
特定の場所)
|
その人が
“望んでいる状態”。
その人の『基本的欲求』
を満たすものがイメージ
として保存されている記
憶の世界のこと。
|
|
|
【関係】
(「基本的欲求」を満たすための要素)
|
・物
・人
・信条
|
|
|
|
上質世界を満たすための行動 |
【行動のシステム】(全行動が収められる場所) |
「全行動の4つの要素」
「行為」・「思考」・「感情」・「生理反応」
|
|
生み出される |
|
|
|
|
ページ先頭へ |
《ボスマネジメントとリードマネジメント》 |
1.ボスマネジメント
(選択理論では、外的コントロール心理学) |
1)ボスマネジメントの概念 |
① 人は外側から動機付けられる、
② 人は、強い外的コントロールによって変えることができる、
「自分は相手の行動をコントロールすることができる」と
いう考え方
いわゆる、ボスの自分本位のマネジメントであり、「相手
の欲求充足を 阻害するマネジメント」といえます。
|
2)ボスマネージャーによく見られる考え方と行動 |
|
・「これが私のやり方であり、正しいやり方である」という自
分の主張を振りかざし、持論を押し付ける。
・他人の見方や価値観は、自分と同じである。
・短期的に成果を強く求める。
・相手を自分の手足、道具、手段と考え、操作しようとする。
・相手(部下、子、生徒など)を所有しているような意識を持
っている。
・批判、怒り、脅し、などの強制により相手をコントロールし
ようとする。
・感情的に対応する(怒る、どなる、大声を出す)。
・相手の言い分に対して聴く耳を持とうとしない。
・相手を見下すような言い方をする。
・「いやならやめろ」と高圧的に出て、相手の選択の自由を奪う
・「もっとできるはずだ」と強くプレッシャーをかける。
・他人と比較して批判、非難する。
・自分の意に沿わない相手は遠ざける。
・問題の原因や理由を聞き出し、責任追及しようとする。
|
3)ボスマネジメントの弊害 |
① ボスマネジメントでは、ボスマネージャーは自分中心の考
え方により、部下に対して、一方的に、行動を押しつける。
このような高圧的行為は、部下の意欲を阻害し、不必要な
恐れを生み、人間関係を悪化させる。
② ボスマネジメントのもとでは、上司が部下の上質世界に入
ることがなく、上司と部下の間で、人間関係、信頼関係が
構築されにくく、破壊され、敵対関係が生まれる。
③ 部下にすれば、黙ってボスの命令に従うだけで、言われて
いる最低限度の仕事しかしなくなり、そのため、従業員の
仕事の質が低下しがちとなる。
④ 部下はボスに依存し、自ら考えたり、頭を使わなくなり、
自立から遠ざかる。
常に上司の意向を気にするヒラメ型部下や、イエスマンの
部下が増える。
⑤ 自分至上のボスマネージャーの独断で仕事と、仕事の基準
を決める。
部下の仕事のチェックと評価は、ボスが行い、部下に評価
をさせない。
⑥ ボスは、部下に仕事のやり方を話すだけで、模範を示すこ
とをしない。
⑦ ボスマネージャーは、改善策について、部下の意見を聞く
ことが少ないため、上質の仕事をする意欲が生じない。
⑧ 部下は、失敗や問題が生じれば、仕事を命じたボスの責任
であると考える。
⑨ ボスはなにごとにも関与しなければならなくなり、いつも
忙しくなる。
|
ページ先頭へ |
2.リードマネジメントの考え方
(選択理論では内的コントロール心理学)
|
|
1)リードマネジメントの概念 |
① 人は内側から動機付けられる
(人は自分で自分の行動をコントロールする)
② 相手の行動を自分の思いどおりにコントロールすることは
できない。
「私たちがコントロールできるのは自分の行動だけで、私
たちは、他人の行動をコントロールすることはできない」
いわゆる、相手の立場に立った、相手本位のマネジメン
トであり、「相手の欲求を充たす支援するマネジメント」
であるといえます。
|
2)リードマネジメントを実行するリードマネージャー
の位置づけ |
①「自分がコントロールできるのは自分の行動だけである」
②「相手を、自分の思い通りにコントロールすることはでき
ない」
③「相手は、それがよい選択だと気づけば、自主的に行動を変
える」
⇒相手が自分のリクエストに応えようと、相手が自らの
行動を変え、良い結果となる言動を取るようになる。
④ 相手の欲求充足に配慮し、相手の選択を尊重し、「相手
の内的動機づけを促す質問や言動をする」
⇒ 相手が内的コントロールを働かせ、上司が期待する
行動を自らで選択。
自主的に行動を取れるように働きかける。
但し、主導権は相手が握っているので、実際にどう
動くかは、相手が選択し、決定することなので、相手
が協力するのを見守ることになる。
|
ページ先頭へ |
3.リードマネジメント実践編 |
リードマネジメントは、「信頼と尊敬に基づくマネジメント」
とも呼ばれています。
仕事の質を追求しつつも、人間的な温かみのある対応を行うこ
とです
|
(1)リードマネージャーの8つの習慣
|
① 傾聴する |
・現在に注目し、行動に焦点を合わせる。 |
② 励ます |
・主体性と自主性を大切にし、本人の強みに
注目し、 共に目標を見出し、チャレンジを
促す。 |
③ 受け入れる |
・現状を受け入れ、変えられないことを念頭
に置く。 |
④ 敬意を払う |
・笑顔、ユーモアを心掛け、肯定的な表現を
する。 |
⑤ 思いやりを
示す |
・日常的な声掛けを意識する。
・問題の時ではなく、良い時に声をかける。
|
⑥ 信頼を示す |
・やり方を細かく規定せず、少しゆとりを持
たせる。
・許される限り権限と責任を委譲する。
|
⑦ 支援する |
・必要としている場所で、必要としている時
に必要と している人に対して、必要として
いるモノを、必要
としている方法で、必要
としている分量で、提供することを心掛ける。 |
⑧ 交渉する |
・違いを話し合い、期待の調整を試みる。
・片方が利益を得るのでなく、お互いの利益に
なる方法を考える。
|
|
こうした関わりによって、チームの一体感は強まり、恊働関係
が築かれていきます。
|
(2)メンバーが失敗した時の対応
|
メンバーが失敗した時に安易に罰を与えるのではなく、学ぶ機
会を与え、メンバ
ーを育て、チームの総合力を高めて、成果
に導くようにすることことです。
そして、マネージャーとしてのあり方が問われる時です。
|
1)罰を与えることにより、その後の行動が、抑制的になる |
・言われたこと以外のことをしなくなる
・不都合な情報を隠す
・なるべく目立たないよう振る舞い、新しいことにチャレン
ジしなくなる。
・罰則に関する意識が高くなり、周囲の人に対すして厳しい
る見方を取るようになり、人間関係がギクシャクするよう
になる
|
2)改善の機会を与えることにより、学びがあり、
成長が期待出来る |
● 改善の機会を与える時の注意
a.脅し文句つけない
「今回だけだからな」とか、
「やらなかったら分かっているな」など
b.脅し文句をつけた時の弊害
罰と同じ現象を生み出すことにつながる
|
|
(3)意見の違いによるメンバー同士の対立への対処
|
意見の対立は、メンバー双方が、お互いの意見の異なる部分に
こだわり、自分の答えが最適だと考え、また、自分の意見は正
しく、相手の意見は間違っているという考えに陥り、折り合い
がつかなくなっていきます。
しかし、リーダーは、意見の対立をそのまま止めるのではな
く、相互理解のチャンスと捉え、有効に活かす、落とし所をみ
つけてあげることが大切です。
⇒ 多角的な視点に達ぬに立ち、変化を起こし、新たに価値あ
る妥協点を探し出す。
|
1)対処法 "共通解”を見つけ出す |
① お互いの意見の違いを明らかにする
② お互いの意見の共通点について検討
|
2)"共通解”に取り組むことのメリット |
① 相互に貴重な情報が得られる
② "共通解”を得る中で協力体制が芽生える
③ 体験を通して、頭でなくより本質的な課題について、理解
が進む。
④ チーム全体が成長し、より良い働きができるようになる
|
(4)上手な改善の求め方 |
メンバーに対して、改善を求める時に、ただ単に問題を指摘
して、相手に改善を求めるのは、上手な対応とは言えません。
それは、マネージャーが求めている内容や考えがメンバーに理
解できているとは限らないからです。
よく理解していない状態で改善の取り組みは、メンバーを混乱
させるだけです。
|
◇ 上手に改善を求めるための必要4要素
(精神科医・企業コンサルタントのハリー・レヴィンソン)
|
1)具体的であること
① 問題がハッキリと現れている場面を捉えて伝えること。
② どこがどのように問題か、わかるようにすること。
2)解決策を示すこと
丸投げをせず、方向性を示すこと。
3)直接伝えること
一対一で相手としっかりと向かい合って伝えること。
4)気持ちを察すること・共感すること。
相手にどのように伝わっているのかを察しながら伝えること。
|
|
ページ先頭へ |
パズル (先入観をすてて考えてみてください) |
1.下記の5個の四角を①から⑯の棒の2本を動かし、
4個の四角にしなさい。 |
⇒ パズル回答ページ |
|
2.下記の9個の点を一筆書きで書きなさい四 |
|
『まちむら興し塾』風景・参加者 |
|
全員で記念撮影
後列左から、樋口さん、上松さん、飯田さん、佐藤さん、高野さん、
わざわざ水戸から参加根岸さん、
前列左から、石井さん、長坂、伊籐さん |
|
点今日は教室が使えず、巣鴨駅前ルノアールで
熱心に耳を傾ける皆さん |
|
いつもの勉強会用テーマリードマネジメントの効用、
おまけがマット棒を使った、パズル出題に頭を抱え、苦戦
時間切れ、固い頭の人たちは降参
回答を聞いて、頭の固さを嘆く |
|
|
上松さん・石井さん |
伊籐さん。飯田さん、佐藤さん |
|
|
真剣な眼差し
石井さん、伊籐さん、飯田さん、
根岸さん |
囲いを作り、人に見られないようにマッチ棒クイズに挑戦中
根岸さん、佐藤さん、高野さん
チェックは講師 樋口さん |
|
|
点わざわざ水戸から参加してくれた今年の卒業生 根岸さん一 |
根岸さん、佐藤さん、高野さん |
|
|
久しぶり参加 石井さん |
上松さん |
|
|
点を一 |
点を一 |
|
クイズ 回答 |
1の回答 |
|
|
2の回答角 |
|
|
|
|